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GoogleのAI新機能が変える旅行検索と集客の仕組み
Googleは2026年の夏に向けて、旅行や移動に関連した複数のAI機能を一斉に発表しました。 AI Modeによる旅行計画の自動生成から、レストランの予約代行、ホテル価格のトラッキングまで、検索の役割が「情報を調べる場」から「行動を完結させる場」へと変わりつつあります。
本記事では、マーケティング担当者が押さえておくべき変化と、その実務への影響を整理します。
検索が「計画ツール」になる
今回の発表の中心にあるのが、AI Modeに追加された「Canvas」機能です。ユーザーが「3泊4日で京都に行きたい」と入力するだけで、AIが旅程を自動生成し、フライトやホテルの候補、観光スポットを地図上にまとめて表示します。計画は自動保存され、会話形式で条件を変えながら調整することもできます。
これまでの旅行計画では、複数のサイトを行き来しながら情報を比較し、最終的に予約サイトへ移動するという流れが一般的でした。しかし、CanvasはGoogleの画面内で計画の大半が完結する設計になっており、ユーザーが個別のWebサイトを訪問する機会そのものが減ります。
予約・問い合わせもAIが代わりに動く
今回のアップデートではAIが実際にアクションを起こす機能も追加されています。Ask Mapsではレストランの条件(人数・日時・料理ジャンル・雰囲気など)を伝えると、複数の予約プラットフォームからリアルタイムで空き状況を取得し、候補のリストを表示します。予約はOpenTableやResyといったパートナーサービスへのリンクから完了する仕組みです。
さらに、AI ModeではGeminiとDuplex技術を組み合わせて、ユーザーの代わりに近隣の店舗へ電話をかけ、在庫や対応可否を確認してその結果を返す機能も展開されます。「探す」「確認する」「予約する」というステップをAIが一括して担う形で、ユーザーの行動がシンプルになる分、企業側が接触できる場面は絞られていきます。
今回発表された主な機能
今回Googleが発表した機能は、旅行・移動・翻訳にまたがる7つです。それぞれの概要と展開状況をまとめます。
AI Mode × Canvas(旅行計画の自動生成)
目的地や旅行スタイルを入力すると、フライト・ホテル・観光スポットを含む旅程をAIが自動生成します。計画は保存され、会話形式で修正できます。
※米国で提供中(2026年5月14日現在)
出典:Google
ホテル価格トラッキング(個別ホテル対応)
特定のホテルに価格アラートを設定し、料金が大きく変動した際にメールで通知を受け取れる機能です。
英語・スペイン語圏で提供中(2026年5月14日現在)
Ask Maps × レストラン予約代行
人数・日時・ジャンルなどの条件を伝えると、複数の予約プラットフォームから空き状況をリアルタイムで取得し、候補を提示します。
※米国・英国・インド・カナダ・オーストラリアで提供中(2026年5月14日現在)
AI Mode × 店舗への自動電話
GeminiとDuplex技術を組み合わせ、ユーザーの代わりに近隣店舗へ電話をかけ、在庫や対応状況を確認することができます。
※米国で提供中(2026年5月14日現在)
Google翻訳 × ライブ翻訳(ヘッドフォン対応)
任意のヘッドフォンを使い、70言語以上をリアルタイムで翻訳します。話者のトーンや語調も保持する設計で、Android・iOS向けに提供中(2026年5月14日現在)。
Ask Maps × キャンプ・お出かけ情報検索
「シャワーあり・駐車場あり・夕日が見える」といった細かい条件でキャンプ場などを検索でき、コミュニティの口コミも含めて提示することができます。
※米国・インドで提供中(2026年5月14日現在)
Google Wallet × デジタルIDパス
パスポートを使ってデジタルIDを作成し、対応するTSAチェックポイントでスキャンできます。搭乗券の保存とあわせて、フライト遅延・ゲート変更・手荷物受取情報をロック画面に表示します。
SEOへの影響
検索流入という観点で見ると、この変化はゼロクリックサーチのさらなる拡大を意味します。AI Modeが旅程や候補リストを生成するとき、参照されるのはGoogleが内部で収集・評価した情報であり、ユーザーはその結果を見てそのまま行動します。検索結果の上位に表示されても、クリックに至らないケースが増えます。
この流れに対応するには、AIに「参照される情報源」として認識されることが重要になります。具体的には、Googleビジネスプロフィールの情報を常に最新の状態に保ち、営業時間・価格帯・対応言語・予約の可否といった要素を正確に整備しておくことが前提です。また、構造化データ(Schema Markup)を適切に実装することで、AIが情報を取得しやすい状態を作ることも求められます。多言語展開をしている企業では、言語ごとの情報整合性を取ることが特に重要です
WEB広告への影響
AI Modeが旅行計画のハブになると、ユーザーが検索から離脱するタイミングが早くなります。旅行・宿泊・飲食といった分野で広告を出している企業にとっては、これまでと同じキーワード連動型の広告だけでは接点を作りにくくなる可能性があります。
一方で、Googleが新たに展開したホテルの価格トラッキング機能は、広告出稿のタイミングを考える上で注目すべき変化です。ユーザーは特定のホテルに価格アラートを設定し、値下がり時に通知を受け取ります。これにより、予約の意思決定が「価格が動いたタイミング」に集中する傾向が出てきます。広告の入札戦略や配信タイミングを、こうした価格変動と連動させる設計が有効になります。
海外マーケティングへの影響
今回発表された機能の多くは、まず英語圏(米国・英国・カナダ・オーストラリア)とインドを中心に展開されており、日本語対応はまだ先の話です。ただし、インバウンド集客を進めている企業にとっては、海外ユーザーがAI Modeで旅程を組む際に自社が候補として表示されるかどうかが、すでに集客に影響し始めています。
AI Modeが生成する旅程やおすすめリストに自社の情報が掲載されるには、英語や各国語でのコンテンツが整っていることが前提になります。
多言語でのSEO対応やGoogleビジネスプロフィールの整備が進んでいない状態では、AIが情報を認識しにくく、候補から外れるリスクがあるため、インバウンドを重視している業種では、この点を早めに確認しておく必要があります。
マーケターが今すぐ取り組むべきこと
まず優先すべきは、AIに参照される情報の整備です。Googleビジネスプロフィールを多言語かつ最新の状態に保ち、予約リンクや価格情報、対応言語を正確に記載することが、AI検索時代の集客における基本的な土台になります。
次に、コンテンツ設計の見直しが必要です。AI Modeは旅程やリストを生成する際、単純なキーワード一致ではなく、情報の網羅性や信頼性を重視して参照先を選びます。「○○エリアで家族向けの宿泊施設を探している人が知りたいこと」を網羅した記事や、比較しやすいスペック情報をページ内に揃えることで、AIに引用される可能性が高まります。広告面では、価格トラッキング機能を踏まえて入札戦略を調整し、比較検討中のユーザーへのブランディング施策を並行して強化しておくことが有効です。
まとめ
Googleが発表した一連の機能は、検索の役割を情報収集から意思決定の完結まで広げるものです。旅行・宿泊・飲食といった分野の企業にとっては、従来の検索流入モデルを前提にしたままでは、接点を作る機会が少なくなる可能性があります。AIに正確な情報を届けられるか、そしてAIが生成する候補リストの中に自社が入れるかどうかが、集客の鍵になっていきます。

