コラム
海外Web広告・多言語広告とは?種類と仕組み、国別の注意点を解説(2026年8月更新)
目次
1.WEB広告(ネット広告)とは?
1-1. WEB広告(ネット広告)のメリット・デメリット
2.WEB広告(ネット広告)の予算について
3.WEB広告(ネット広告)の種類
3-1. 国内Web広告と海外・多言語Web広告の違い
4.海外Web広告を始めるまでの5ステップ
5.海外Web広告(多言語Web広告)の種類
5-1. 多言語Web広告を始める前に知っておきたい世界のトレンド
5-2. 国・地域別の主要プラットフォーム対応表
6.海外向けWEB広告(ネット広告)における言語特性
6-1. 中国/香港/タイ/ベトナム/アメリカ/シンガポール
7.海外向けWEB広告(ネット広告)のクリエイティブ特性
7-1. 台湾/香港/タイ/ベトナム/アメリカ/イギリス/オーストラリア/マレーシア/シンガポール
8.海外展開時の効果測定・KPI設計
9.AIO/GEO時代の海外Web広告運用
10.海外Web広告で注意すべき法規制・インフラ環境
10-1. 中国/欧州(GDPR)/タイ(PDPA)
11.よくある質問
12.まとめ
1.WEB広告(ネット広告)とは?
海外Web広告とは、日本国内向けの広告と同様の手法を海外の消費者向けに展開する広告のことで、多言語Web広告とも呼ばれます。国内向けのWeb広告と大きく異なるのは、言語ごとの検索行動やクリエイティブの好み、各国の法規制への対応が必要になる点です。本記事では、海外・多言語展開時に押さえるべきポイントを中心に解説します。
WEB広告には、Googleなどの検索結果に表示されるリスティング広告や、ニュースサイト、メディアサイトなどの広告枠に表示されるディスプレイ広告、SNS広告や動画広告などがあります。
1-1.WEB広告(ネット広告)のメリット・デメリット
WEB広告のメリットは、年齢・性別・地域・検索履歴などによる細かなターゲティングや、クリック課金制による柔軟な予算設定、配信後の随時修正が可能な点です。マス広告と比較して費用対効果を確認しながら運用できるのが強みです。
一方、デメリットとしては広告ブロッカーの普及により配信できないケースが増えていることや、競合の多い業界では入札単価が高騰しやすいことが挙げられます。独自性のあるクリエイティブによる差別化が重要です。
2.WEB広告(ネット広告)の予算について
課金方式には、クリック課金(CPC)・インプレッション課金(CPM)・コンバージョン課金・広告視聴課金(CPV)・エンゲージメント課金(CPE)などがあり、目標売上額や損益分岐点から逆算して予算を設定するのが基本的な考え方です。
ただし、海外向けに配信する場合はこの計算式をそのまま使うのは注意が必要です。国によって平均クリック単価(CPC)やコンバージョン率(CVR)の相場が大きく異なるため、日本国内の実績データをベースに予算を組むと、想定より大幅に予算が不足したり過剰になったりするケースがあります。海外展開時は、進出先国の媒体レップやローカル代理店から現地の相場感を事前に確認することをおすすめします。
3.WEB広告(ネット広告)の種類
WEB広告は、目的やターゲットの属性によって使い分けることで効果を最大化できます。
リスティング広告:検索結果に表示され、検索意図のある顕在層への販売促進に向いています。
ディスプレイ広告:WEBサイトの広告枠に表示され、潜在層へのブランド認知に効果的です。
SNS広告:趣味や行動など細かなターゲティングが可能で、認知・販売促進の両方に対応します。
動画広告:YouTubeなどで配信され、情報量の多さを活かした認知目的の媒体です。
3-1.国内Web広告と海外・多言語Web広告の違い
| 項目 | 国内Web広告 | 海外・多言語Web広告 |
|---|---|---|
| 主要プラットフォーム | Google・Yahoo!・LINE | 国により異なる(中国はBaidu、韓国はNAVERなど) |
| 検索行動 | 日本語特有の検索傾向 | 言語ごとの語順・文法差(英語はフレーズ検索が多いなど) |
| クリエイティブ | 国内トレンドに準拠 | 国別の色調・フォント・文化的要素への配慮が必要 |
| 法規制 | 個人情報保護法(日本) | GDPR・PIPL・PDPAなど国ごとの規制 |
| CPC/CVRの相場 | 業界データが豊富 | 国ごとに相場が大きく異なり、現地データの確認が必須 |
4.海外Web広告を始めるまでの5ステップ
海外・多言語Web広告を新たに始める際は、以下の順番で検討を進めるとスムーズです。

対象国・言語の選定:進出先の市場規模や自社商材との相性を踏まえて優先順位をつけます。
プラットフォームの選定:対象国で実際に使われている検索エンジン・SNSを確認します(中国のようにGoogleやFacebookが使えない国もあります)。
現地の法規制の確認:GDPRやPDPAなど、個人情報保護に関する規制の有無と罰則を確認します。
クリエイティブのローカライズ:単純な翻訳ではなく、現地で好まれる配色・フォント・訴求表現に合わせて作り直します。
計測設計:GA4などでの国別コンバージョン計測、通貨換算、現地KPIの基準を事前に設計します。
5.海外Web広告(多言語Web広告)の種類
5-1多言語Web広告を始める前に知っておきたい世界のトレンド
世界の検索トレンドとしては、ほとんどの国でGoogleやbingが主要検索エンジンとして利用されていますが、中国ではBaidu、韓国ではNAVERなど、国産の検索エンジンを使用している国もあります。
SNS/動画配信アプリについても、ほとんどの国でFacebook・Instagram・YouTube・TikTokなどのグローバルプラットフォームが利用されており、特にTikTokは東南アジアやアメリカ、ヨーロッパの若年層を中心に急速に存在感を高めています。一方で中国は国産のプラットフォームが主流で、インドやアメリカの一部州のようにTikTokの利用が規制・制限されている国や地域もあるため、進出先ごとの利用状況の確認が欠かせません。
5-2.国・地域別の主要プラットフォーム対応表
| 国・地域 | 主要検索エンジン | 主要SNS/動画 | メッセージアプリ |
|---|---|---|---|
| 中国 | Baidu | Weibo、抖音(Douyin) | |
| 韓国 | NAVER、Google | Instagram、YouTube | KakaoTalk |
| 台湾・香港 | Facebook、Instagram | LINE、WhatsApp | |
| タイ | Facebook、TikTok | LINE | |
| ベトナム | Facebook、Zalo | Zalo | |
| アメリカ・イギリス・オーストラリア | Google、bing | Instagram、TikTok、YouTube | iMessage、WhatsApp |
| マレーシア・シンガポール | Facebook、Instagram、TikTok |

6.海外向けWEB広告(ネット広告)における言語特性
6-1.中国/香港/タイ/ベトナム/アメリカ/シンガポール
中国
検索における使用言語
中国では中国語(標準中国語)が公用語であり、簡体字が利用されています。検索での使用も同様で、英語などの他言語での検索は少ないのが特徴です。
文法の特徴
中国語の語順はSVO型(主語+動詞+目的語)です。そのため、文章検索の際は基本的に主語は省略されます。
台湾・香港と異なり、単語型検索の際は単語間にスペースを置かない傾向にあります。また、短い疑問型の文章で検索することが多いのも特徴の1つです。
香港
香港では、広東語・英語・中国語が公用語です。話者の比率は、広東語 92.3%、英語 2.1%、標準中国語 2.1%、その他中国語方言 1.9%、それ以外 1.5%(香港政府統計処「主題性住戶統計調査」2021年、6〜65歳対象)です。文字は繁体字を使用し、英国植民地だった歴史背景から、英語の利用率が高いのが特徴です。30代以降は広東語・普通話・英語を使用しますが、普通話と比較して英語の使用が減少傾向にあります。
検索における使用言語
検索で使用する文字は繁体字です。中国と同様、文章で検索することもありますが、基本的に単語と単語の間にスペースを開け、単語の組み合わせで検索することが多いです。なお、Googleキーワードプランナーは、スペースの有無は同じキーワードとみなします。
タイ
タイの公用語はタイ語です。華人が全体の15%を占めているため、中国語や、一部では英語が使われています。
検索における使用言語
検索においてはタイ語が中心で、英語や中国語の検索も見られます。
文法の特徴
タイ語の語順はSVO型(主語+動詞+目的語)であり、英語等と同様に文章やフレーズでの検索も多い傾向にあります。
検索方法
検索方法においては単語+動詞の組み合わせが中心で、日本語の検索行動とは異なる傾向にあります。
名詞句を作る際は、การ(kaan)のように動詞を名詞化するための接頭語が必要になるケースがあります。こうした接頭語付きの表現は入力の手間が増えるため、検索キーワードとしての使用頻度は低い傾向にあります。
ベトナム
アクセント(濁点)処理
ベトナム語は、「Khách sạn」のように濁点がつくのが特徴のひとつで、クローラーのインデックス処理上は単語によっては別の言葉として処理されているケースがあるため注意が必要です。
基本的に濁点のある単語は濁点を含む単語で対策をすることをおすすめします。
アメリカ
様々な人種・民族が集まる国のため、州により英語の使用率に多少の差はありますが、いずれの州でも英語の利用率が多い傾向にあります。
検索における使用言語
アメリカで検索に使用される言語は8割が英語、次いでスペイン語となります。対策上は英語を中心に考えて問題ありません。
文法の特徴
英語の語順はSVO型(主語+動詞+目的語)で文を形成するため、”visit japan”や”trip to japan”という語順とります。”best places to visit in japan”など、代表的な文章やフレーズでの検索も多く、名詞句(名詞と同様の働きをする複数語句のかたまり)での検索が見られます。
<よく使われる共起語>
・Best〜、must〜:最上級
・things to do〜:やること
・best place to visit in japan Things to do in japan:日本で最も行くべき場所 日本でやること
“best”、”must”や”things to do”は口コミやおすすめなどの具体的な情報を探す際に使われやすい表現です。
シンガポール
シンガポールでは英語・中国語(簡体字)・マレー語・タミル語が公用語です。ビジネスシーンでは英語が中心ですが、消費者向け検索では中国語での検索も一定数見られます。
検索における使用言語
検索では英語が主流ですが、中華系住民の多いエリアや世代によっては中国語検索も併用されます。英語圏向けと同様、フレーズ検索が多い傾向にあります。
7.海外向けWEB広告(ネット広告)のクリエイティブ特性
7-1.台湾/香港/タイ/ベトナム/アメリカ/イギリス/オーストラリア/マレーシア/シンガポール
クリエイティブ特性について、台湾・香港・タイ・ベトナム・アメリカ・イギリス・オーストラリア・マレーシア・シンガポールについて解説いたします。
台湾

フォント・配置
フォントは読みやすい明體(宋体系)がよく使われます。カジュアルな広告では、視認性の高い黑體(ゴシック体系)も使用されています。
配置は中央揃えのレイアウトが一般的です。空間を意識したデザインが多く、テキストとビジュアルの配置が整っており、情報がスムーズに伝わるように工夫されています。
言語表記・ビジュアル例
使用言語は繁体字です。看板や伝統的な印刷物では縦書きも見られますが、Web広告では横書きが主流です。
ビジュアルは明るい色調とシンプルでクリーンなビジュアルが好まれます。伝統的な要素(例:ランタン、赤色の装飾など)とモダンなデザインを融合させたビジュアルが多く、文化的背景を反映する広告が多いです。
香港

フォント・配置
フォントは視認性の高いゴシック体が好まれます。また、筆字系のフォントも伝統的なイメージを強調する広告で使われます。
配置は非対称レイアウトが用いられたダイナミックな構図が特徴です。テキストとビジュアルがバランスよく配置され、視線を誘導するデザインが多いです。
言語表記・ビジュアル例
使用言語は繁体字+英語(繁体字のみの場合が多い)で、繁体字と英語の併用では、上下または左右に分けて配置することが一般的です。英語は補助的な役割を果たすことが多いですが、ビジネスや高級ブランドの広告では英語がメインになることもあります。
ビジュアルはダイナミックで高コントラストなビジュアルが好まれます。豪華で派手な色(金色、赤)が使われ、視覚的に目を引くようにデザインされています。都市の風景や伝統的なシンボルも多く取り入れられます。
タイ

フォント・配置
タイの広告では、タイ字フォントがよく使用されます。これに加え、モダンなサンセリフ体が使われます。手書き風のフォントも親しみやすさを伝えるために用いられることがあります。
配置は縦横無尽なレイアウトが多く、自由な配置が特徴です。視覚的なバランスを保ちながらも、ダイナミックで遊び心のあるデザインが主流です。
言語表記・ビジュアル例
使用言語はタイ語+英語で、タイ語は母音や子音が上下に配置されます。母音の配置が複雑であるため、フォント選びや文字の大きさに注意が必要です。
ビジュアルはカラフルで活気に満ちたデザインが多く、文化的要素(例:仏像、伝統的な建築物)がよく取り入れられています。
ベトナム

フォント・配置
フォントは力強いサンセリフ体がよく使用されます。
配置は対称的な配置が多く見られ、視覚的なバランスが重視されています。
言語表記・ビジュアル例
使用言語はベトナム語(+英語)で、アクセント記号が多く使用されるため、文字の配置に工夫が必要です。広告では、視認性を確保するために、大きめのフォントや文字間隔を保つことが重要です。
ビジュアルは赤と黄色などの明るい色が多く使用され、元気でエネルギッシュな雰囲気のものが多いです。国旗のモチーフや歴史的なシンボルが多用され、ベトナムのアイデンティティが強調されるデザインが一般的です。
アメリカ

フォント・配置
アメリカの広告では、インパクトのあるサンセリフ体が多用されます。太字や斜体を使って強調する手法が一般的で、視覚的に目立たせることが重視されます。カスタムフォントも頻繁に使用され、ブランドの個性を強調します。
配置はグリッドベースのレイアウトが一般的で、テキストとビジュアルがきれいに配置されています。余白を効果的に使い、視認性の高いデザインが特徴です。メッセージを明確に伝えるためのシンメトリカルな配置が好まれます。
言語表記・ビジュアル例
アメリカの広告では短い文章やスローガンが多用されます。大文字を使用してインパクトを与えることが一般的であり、特に見出しやキャッチコピーに使われます。
ビジュアルは高解像度でリアルな画像が使用され、広告全体にプロフェッショナルで洗練された印象を与えます。シンプルなデザインでありながら、視覚的なインパクトを重視するスタイルが多いです。
イギリス

フォント・配置
フォントは、セリフ体が多く使用されます。モダンなサンセリフ体も使用され、特にテクノロジーやファッション関連の広告で、洗練された印象を与えます。
配置は左右対称のレイアウトがよく使われ、バランスが重視されています。シンプルな構成が好まれ、情報がわかりやすく整理されており、視覚的に快適なデザインが多いです。
言語表記・ビジュアル例
広告では洗練された文体が使われることが多いです。
ビジュアルはシンプルなデザインが多く、落ち着いた色合い(例:ネイビー、グレー)が好まれます。クラシックなイメージとモダンな要素を組み合わせたデザインが主流です。
オーストラリア

フォント・配置
フォントは、サンセリフ体が多用されます。アウトドアやスポーツ関連の広告では、親しみやすさや躍動感を与える手書き風のフォントも使用されます。
配置は自由でダイナミックなレイアウトが多く、視覚的なバランスを保ちながらも非対称的な配置が特徴です。余白が多めに取られ、視認性と親しみやすさを両立させたデザインが主流です。
言語表記・ビジュアル例
オーストラリアではカジュアルで親しみやすい表現が多く使用されます。ユーモアを交えたリラックスした口調が好まれることが多く、省略形やスラングも頻繁に登場します。
ビジュアルは自然やアウトドアをテーマにしたデザインが多く、明るい色合い(例:青、緑)が使用されます。リアルな写真がよく使われ、ライフスタイルを映し出す広告が主流です。
マレーシア

フォント・配置
フォントは、サンセリフなどの多言語対応のフォントが一般的で、特に英語とマレー語を両方表示することが多いです。特に太字のサンセリフ体が使用され、視認性が高いデザインが好まれます。
配置は非対称のレイアウトが多く見られ、視覚的なインパクトを重視したデザインが特徴です。ビジュアルが前面に押し出され、テキストはシンプルにまとめられることが多いです。
言語表記・ビジュアル例
使用言語はマレー語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、タミル語です。多言語表記が一般的で、広告では複数の言語を併用して異なる文化背景の消費者にアピールすることが多いです。例えば、英語とマレー語が併用され、視覚的には左右対称または上下対称に配置されます。
ビジュアルはカラフルで豊かな色彩が特徴のビジュアルが多く、多文化的な要素(例:民族衣装、伝統的な祭りのシーン)が頻繁に取り入れられます。広告全体が活気とエネルギーを感じさせるデザインが主流です。
シンガポール

フォント・配置
多民族国家であることを反映し、サンセリフ体を中心に多言語表記に対応したフォントが好まれます。配置は整理されたグリッド型レイアウトが多く、都市的で洗練された印象を重視します。
言語表記・ビジュアル例
英語表記が中心で、対象層によって中国語・マレー語を併記します。ビジュアルは高層ビル群や都市生活を想起させるモダンなイメージが多く使われます。
8.海外展開時の効果測定・KPI設計
海外・多言語Web広告では、国内広告と同じKPI基準をそのまま適用するのは危険です。国によってCPA・CVRの相場が大きく異なるため、進出初期は「日本国内の基準値」ではなく「進出先国の市場平均値」を基準にKPIを設定する必要があります。

また、GA4などの計測ツールでは国別・言語別にコンバージョンを分けて計測し、通貨換算のタイミング(決済時点のレートか、月次の固定レートか)も事前にルール化しておくと、レポーティング時の混乱を防げます。
9.AIO/GEO時代の海外Web広告運用
近年はGoogleのAI Overviewsをはじめ、検索結果自体がAIによる要約・回答で構成されるケースが増えています。この流れは海外向けのWeb広告にも影響しており、リスティング広告の表示位置や、Performance Maxのような自動化されたキャンペーン形式への対応が、国内・海外を問わず重要になっています。
多言語SEOコンテンツと連動させ、各国の検索エンジン・AI検索エンジンに拾われやすい構造化されたコンテンツを用意しておくことが、広告と自然検索の両面で成果を出すための土台になります。
10.海外Web広告で注意すべき法規制・インフラ環境
10-1.中国/欧州(GDPR)/タイ(PDPA)
中国へのプロモーションは、グレートファイヤーオール/ICP登録/タグの設置に注意!

グレートファイヤーウオール(金盾)の影響
中国以外のサーバーの場合、ページの表示スピードが極端に遅くなり、ページの離脱に繋がります。
中国サーバー&ICP登録
中国サーバーを借りるには基本的にICPが必要で、ICPの登録には中国国内の企業/法人が必要となります。
Google等の中国系用サービス以外のタグ利用
Google等のタグを設置している中国向けページは極端に表示速度が遅くなります。Google Analyticsを使用しているならBaidu統計、GoogleMAPを使用しているならBaiduMAPへの変更の検討が必要です。
PIPL
2021年11月に中国では「個人情報保護法(PIPL)」が施行されました。
これは、データセキュリティ法を補足するものです。組織や個人が個人情報を中国でどのように取り扱うかを定めた法律で、違反すると罰金が課せられます。
具体的には、アプリメーカーに対し個人情報利用の有無を問い、「利用する場合はどのように利用するのか」、「個人の特性に基づいてマーケティングを行うか」などの選択肢をユーザーに提供するよう求める法律です。
※EUの一般データ保護規則(GDPR)に類似しています。
欧州圏のEU 一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)
欧州連合(EU)では、個人情報(データ)の保護という基本的人権の確保を目的とした「EU 一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」が、2016年5月24日に発効、2018年5月25日から適用が開始されました。
GDPRは、EUを含む欧州経済領域(EEA)域内で取得した「氏名」や「メールアドレス」「クレジットカード番号」などの個人データを EEA 域外に移転することを原則禁止しており、現地進出の日系企業に勤務する現地採用従業員や、日本から派遣されている駐在員も含まれるため注意が必要とされます。行政罰規定があり、違反行為に対しては、高額の制裁金が課されるリスクもあります。

▼実務ハンドブック(入門編)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/dcfcebc8265a8943/20160084.pdf
▼実務ハンドブック(実践編)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/76b450c94650862a/20170058.pdf
GDPRは施行から数年で「話題性の高い単発の罰金」から「継続的かつ高額な執行体制」へと性質を変えています。2018年の施行以降、EU全体の累積罰金額はすでに70億ユーロを超え、違反通知は1日平均400件超のペースで発生しています。
代表的な事例としては、Meta(Facebook運営元)がEU域外へのデータ移転に関するGDPR違反で12億ユーロの制裁金を科された件や、TikTokが中国へのデータ移転を巡ってアイルランドのデータ保護委員会(DPC)から5億3,000万ユーロの罰金を科された件があり、いずれも近年のGDPR罰金として過去最大級の水準です。特に越境データ移転(第46条)に関する違反は、金額水準が最も高くなる傾向にあります。
日本国内から欧州向けにWEB広告を配信する企業様も、現地採用スタッフや駐在員の個人データの取り扱い、広告タグ経由でのデータ移転などが対象となり得るため、GDPRを「数年前に一度話題になった規制」ではなく、現在進行形で執行が強化され続けている規制として捉える必要があります。
また、Googleは2020年末頃から、欧州の一部の国への広告主に対して「地域固有の追加料金」を課しています。これはEU各国のデジタルサービス税(DST)や付加価値税(VAT)などに対応するための仕組みで、対象国や料率はGoogle側の判断で随時見直されています。追加料金は毎月末の請求時に加算され、アカウントの予算にも上乗せされる形で反映される点に注意が必要です。
対象国・現在の料率は変更される可能性があるため、出稿前に必ずGoogle広告のヘルプページで最新情報を確認することをおすすめします。
※引用:GoogleWEBサイト「地域に固有の追加料金」
https://support.google.com/google-ads/answer/9750227
タイへのプロモーションは個人情報保護法(Personal Data Protection Act, PDPA)に注意!
2022年6月に全面施行された「個人情報保護法(Personal Data Protection Act, PDPA)」は、基本的にEUの一般データ保護規則(GDPR)を参照して定められています。ウェブサイト上にタイ語のページを設けるなど、タイ人観光客を明確に対象とした電子商取引やインバウンド誘致の場合、収集したタイ居住者の情報は同法の規制対象です。
個人情報保護法(PDPA)の罰則については以下の通りです。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 特定個人に損害、中傷、侮辱、嫌悪、屈辱を与え得る情報の無許可利用・公開 | 6ヶ月以下の懲役 50万バーツ以下の罰金 上記のいずれかまたは両方 |
| 情報の無許可利用・公開により、不正な利益を得る行為 | 1年以下の懲役 100万バーツ以下の罰金 上記のいずれかまたは両方 |
※法人による法令違反については、代表者、管理職、経営に責任を持つ人物の命令もしくは行動によって引き起こされるか、責任者の怠慢により引き起こされた場合には、責任者も刑事罰の対象となる点に注意が必要です。
施行当初の数年間はPDPC(個人情報保護委員会)による啓発や研修が中心でしたが、2024年8月には初めての行政罰として、コールセンター詐欺に関わるデータ漏えいを起こした事業者に700万バーツの罰金が科されました。2025年8月にも新たに5件の罰金事例が公表され、これまでの罰金総額は6件で約2,150万バーツにのぼります。タイ人観光客や現地顧客の情報を扱うサイトを運営する企業様は、プライバシーポリシーの整備やデータ保護責任者(DPO)の選任など、実際の執行事例を踏まえた対応が求められます。
11.よくある質問
Q. 海外Web広告と国内Web広告の違いは何ですか?
広告のフォーマットや課金方式自体は共通していますが、海外Web広告では言語ごとの検索行動の違い、現地で好まれるクリエイティブのトーン、そして各国の個人情報保護法など、国内向けにはない要素への対応が必要です。
Q. 多言語Web広告を始める際、最初に何を確認すべきですか?
配信対象国の主要検索エンジンとSNSプラットフォームの利用状況をまず確認します。例えば中国ではGoogleやFacebookが使えないため、Baiduや国産SNSへの切り替えが前提になります。
Q. 海外向けWeb広告で法規制はどこまで気にする必要がありますか?
GDPR(欧州)やPDPA(タイ)のように、対象国の個人情報保護法は罰則を伴うため必須の確認事項です。特にGDPRは越境データ移転に関する違反で高額な制裁金が科される事例が相次いでおり、現地スタッフや駐在員の情報も対象になり得る点に注意が必要です。
Q. 海外Web広告のKPIは国内と同じ基準で設定していいですか?
おすすめしません。国によってCPCやCVRの相場が大きく異なるため、進出先国の市場平均値をもとにKPIを再設定する必要があります。
12.まとめ
WEB広告は効果的なマーケティング手法であり、様々な種類やプラットフォームが存在します。海外・多言語展開する際には、対象国の検索行動やプラットフォームの違い、クリエイティブの好み、そして個人情報保護法などの法規制に配慮し、国内向けとは異なる基準で広告戦略を設計することが重要です。
自社での運用が難しい場合は、進出先国の言語・法規制・媒体特性に精通した代理店に相談するのも一つの選択肢です。当社には、業界歴20年以上、延べ25カ国300社以上の実績をもつコンサルタントなど、経験豊富なスタッフが在中しております。
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【記事監修】
Kollega株式会社 代表取締役CEO
菊池 明(きくち あきら)
2005年デジタルマーケティング支援企業に新卒入社。(2005年に上場)大手、上場企業のクライアントを中心にデジタルマーケティングに従事。2010年以降、海外法人の執行役員、取締役を歴任し、2019年同社副社長としてマーケティング事業を統括。メイン担当者として延べ20年、25か国/300社以上のコンサルティング実績を有する。2023年12月当社を設立、代表取締役CEOに就任する。

