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海外SEOを支える法規制とコンプライアンス対応
海外向けサイトを公開する前に確認しておくべきなのが、対象国の個人情報保護法や、サーバーの設置・登録に関する規制です。技術基盤やコンテンツをどれだけ整えても、対象国の法規制に抵触した状態でサイトを公開すると、サイトの停止や罰則のリスクにつながります。国ごとに要件が大きく異なるため、対象国を決めた段階で個別に確認しておく必要があります。
個人情報保護法の枠組みは国ごとに異なる
EUのGDPR、ブラジルのLGPD(一般データ保護法)、インドのDPDP法(デジタル個人データ保護法)は、いずれも個人データの取得・利用にあたって本人の同意取得やデータの取り扱いに関するルールを定めていますが、施行時期や運用の厳格さは国によって異なります。
たとえばインドのDPDP法は2023年に成立し、詳細な運用ルールを定めるDPDP規則は2025年11月に公布されました。規則は段階的に施行され、Consent Managerの登録・運用に関する規定は2026年11月ごろ、企業の同意取得や安全管理措置、データ侵害対応などに関する主要規定は2027年5月ごろに適用される予定です。2026年時点では、企業に対する主要な義務や罰則が全面的に適用される前の準備期間にあたります。本格運用を見据え、同意取得・管理やデータ保護の体制を整えておく期間と捉えるとよいでしょう。
同意取得とデータ保管場所の確認
GDPR、LGPD、DPDP法に共通する論点として、ユーザーから個人データを取得する際の同意取得の方法と、取得したデータをどこに保管するかという2点があります。
たとえば、問い合わせフォームで氏名とメールアドレスを収集する場合、EU向けページではGDPRに準拠したCookie同意バナーの設置とプライバシーポリシーの整備が必要になり、ブラジル向けページではLGPDに基づく同意取得の記録、インド向けページではDPDP法に基づく通知内容の整備が、それぞれ個別に必要になる、というケースが考えられます。1つのプライバシーポリシーを多言語に翻訳するだけでは、国ごとの法的要件を満たせないことがあるため、対象国の法律に詳しい専門家に確認しておくことが望ましいといえます。
中国はサーバーの所在地で対応が変わる
中国は個人情報保護法(PIPL)やサイバーセキュリティ法に加えて、サーバーの設置場所によって求められる対応が大きく変わる点が特徴です。
中国本土にサーバーを設置してサイトを運営する場合、ICP備案と呼ばれる届出をMIIT(工業和信息化部)に対して行う必要があり、中国本土に登記された法人がなければ申請自体ができません。一方、中国本土以外にサーバーを置いて中国のユーザーにサイトを公開する場合はICP備案は不要になりますが、その場合はページの表示速度が遅くなりやすく、百度(Baidu)での評価も相対的に不利になりやすいとされています。また、サーバーの所在地にかかわらず、中国のユーザーの個人データを扱う以上はPIPLの適用対象になります。自社サイトが該当するかどうかは、対象ページで問い合わせフォームや会員登録、Cookieなどを通じて中国のユーザーから氏名・メールアドレスといった個人データを取得しているかどうかを確認すれば判断できます。該当する場合は、対象国向けの法規制対応の一環として、PIPLに基づく通知・同意の要件も確認しておく必要があります。
展開前に確認しておきたいチェック体制
対象国の法規制は、技術基盤やコンテンツの設計と並行して、展開前のチェック項目として組み込んでおくことが実務上の落としどころです。まず、対象国の個人情報保護法における同意取得の要件を確認します。Cookie同意バナーの要否や同意の記録方法は国ごとに異なるため、対象国の最新の法令や現地専門家の見解をもとに確認しておく必要があります。あわせて、対象国のサーバー・データ保管要件も確認しておきます。中国のようにサーバーの所在地によって届出の要否が変わる国もあるため、インフラの設計段階から法務担当者と連携しておくことが望ましいといえます。
これらの確認は一度行えば終わりというものではなく、対象国の法規制自体が数年単位で更新されていくため、既存の展開国についても定期的に情報を見直す運用が欠かせません。
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【記事監修】
Kollega株式会社 代表取締役CEO
菊池 明(きくち あきら)
2005年デジタルマーケティング支援企業に新卒入社。(2005年に上場)大手、上場企業のクライアントを中心にデジタルマーケティングに従事。2010年以降、海外法人の執行役員、取締役を歴任し、2019年同社副社長としてマーケティング事業を統括。メイン担当者として延べ20年、25か国/300社以上のコンサルティング実績を有する。2023年12月当社を設立、代表取締役CEOに就任する。

